概要
クエン酸不動態化処理とは、ステンレスの耐食性を向上させる表面処理です。
ステンレスの耐食性を向上させる不動態化処理として一般的なのは、クロム+硝酸の液に浸漬することですが、処理液に6価クロムを含むため、各種環境規制や企業のCSR活動に抵触してしまいます。
クエン酸不動態化処理は、「クエン酸」を使用した表面処理のため、各種環境規制を満足することができます。
また、航空産業・防衛産業で広く適用される「AMS2700」にもMethod2として登録されており、航空産業・防衛産業部品にも適用することが可能です。
弊社ではAMS2700に適合するクエン酸不動態化処理を処理可能です。
ご興味がある方はお問い合わせよろしくお願いします。
処理のメカニズム
〇通常のクロム+硝酸の処理液の場合
・硝酸の効果で表面の遊離鉄分の除去
・硝酸及びクロムは、酸化剤のためステンレス表面の不動態化皮膜の強化
〇クエン酸不動態化処理の場合
・クエン酸の効果で表面の遊離鉄分の除去
・クエン酸は酸化剤ではないため、相手を酸化させる能力はない。
※後工程の水洗や空中で自然に不動態皮膜が生成される
メカニズムを見ると、クロム+硝酸の処理液の方が良いように思われますが、弊社内での検証では耐食性に差異は生じませんでした。
メリット
- 環境規制に対応できる
- 作業者の安全性が高まる
- 6価クロムフリーという製品付加価値が高まる
- コストダウン(合金別の使い分けが無くなるため)
※クロム+硝酸の処理液の場合、合金によって使用できる処理液が異なります。クエン酸不動態化処理では同時処理が可能なため、コストダウンに繋がります。
処理液の使い分けの詳細は以下リンク参照。
・不動態処理についてhttps://www.tpm-tamagawa.com/faqs/surface/151/
実際の処理プロセス
- 段取り
- 脱脂
- 水洗
- クエン酸不動態化処理
- 水洗
- 乾燥
注意点
400系のステンレスは、通常のクエン酸不動態化処理では溶解するリスクがあります。
弊社では処理液の調整により、416や420などの耐食性の低い400系のクエン酸不動態化処理も可能となりました。